老親・家族 在宅での看取り方

一人暮らしだけど一人じゃない 愛する猫と最期まで過ごしたい

写真はイメージ

 余命を宣告された。残された時間を、病院ではなく自宅で過ごしたい--。こう言って、在宅医療の相談に来られる方は珍しくありません。大切な家族と共に過ごしたいという方もいれば、一人暮らしの方もいます。

 肝細胞がんを患う75歳の男性は、通院する病院から余命2~3週間と告げられたことをきっかけに、在宅医療を開始しました。

 肝細胞がんは、C型肝炎やB型肝炎、糖尿病や肥満など生活習慣が原因で発症します。C型肝炎ウイルス・B型肝炎ウイルスに感染すると、肝臓の細胞に炎症が起こり、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がんをはじめとする肝臓がんへと移行していきます。肝機能の低下が著しくなると、皮膚や目が黄色くなる黄疸が出たり、むくみ、かゆみ、だるさ、倦怠感などの症状が現れますが、これは症状がかなり進行してから。肝硬変や肝臓がんがあっても自覚症状はほぼありません。肝臓が沈黙の臓器と呼ばれるゆえんです。患者さんの大半は、医療機関での定期的な検診や、ほかの病気の検査などの時に病気が見つかります。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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