医者も知らない医学の新常識

ビタミンは高血圧を予防する 中国の1万2000人調査で判明

キノコ類に多く含まれるナイアシンもビタミンの一種(C)日刊ゲンダイ

 高血圧は生活習慣病の中でも最も多い病気ですが、薬でコントロールすることはできても、完全に治すことはできません。そうなると大切なのは予防ということになります。高血圧の予防というと食事の塩分を制限する、減塩が必ず指摘されます。

 確かに減塩には一定の効果があり、患者さんが入院すると、薬を変更しなくても血圧が低下するのは、減塩の効果と考えられます。しかし、厳しい減塩を継続することは実際には困難ですし、減塩だけで高血圧を予防できないことも分かっています。それでは、他に高血圧の予防に有効な生活習慣はないのでしょうか?

 今年の米国医師会関連の医学誌に、ナイアシンというビタミンの効果に着目した論文が掲載されています。

 中国で1万2000人を超える一般住民に食事と血圧との関連を検証したところ、ナイアシンの1日の摂取量が15.6ミリグラムを超えない範囲であれば、摂取量が多いほど高血圧の発症は予防されていました。そしてそれを超えると逆に高血圧のリスクは増加していたのです。

 ナイアシンはビタミンB3とも呼ばれ、体の代謝やエネルギー産生に不可欠な成分です。肉や魚、キノコや穀類などに幅広く含まれているので、食事に大きな偏りがなければ不足することはありません。つまり、バランスの良い食事を取ることが、高血圧の予防には重要なのです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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