気分が最も落ち込むのは「23時」…「11PMシンドローム」に要注意!

 長期化するコロナ禍で心の不調を訴える現代人が増えている中、注目すべき調査結果が発表された。一見すると何のつながりもなさそうな腸と心の関係が明らかになった、その調査とは……。

■腸とメンタルヘルスの関係が明らかになった!

 注目の調査はゼネラルリサーチがコロナ禍における心の不調の実態と気分が落ち込むタイミングを知るため、全国の20代~50代の男女3000人を対象に行ったもの。

 それによると、直近1カ月の心身の状態について悪くなった人が35.9%と3割以上。特に30代~40代の女性では約4割が心身状態が悪い傾向にあることが分かった。

 気分が最も落ち込む時間帯を聞くと就寝前の「23時」が最も多く、以下「7時」、「6時」、「0時」と続いており、まさに「11PM(イレブンピーエム)シンドローム」といってもいい状況にあることがうかがえる。

 ちなみに「23時」に気分が落ち込む理由としては「寝る前にいろいろと先のことで不安なことを考えるから」(20代・男性・岐阜県)「明日も仕事かと思うと考え込み、また気分が下がる」(20代・女性・愛知県)「寝る前にネガティブなことを考えてしまうため」(20代・女性・石川県)などが挙げられている。

せたがや内科・神経内科クリニック久手堅司院長
就寝前に考え込むと自律神経が乱れて不調になる

 この結果に関して、自律神経のスペシャリストであるせたがや内科・神経内科クリニック久手堅司院長は、

「就寝前は交感神経優位から副交感神経優位へと自律神経が切り替わる時間帯。この切り替わるタイミングは不調なども出やすく、特に周りが静かだと気分の落ち込みを感じやすくなってしまうのです。また『寝る前に仕事のことや明日のことをいろいろと考えてしまう』との回答もありますが、リラックスすべき就寝前に考え込んでしまうことで、さらに自律神経の乱れのスパイラルに陥ってしまいます。このまま寝床に入ったとしても交感神経と副交感神経がすっきり切り替わらず、レム睡眠と呼ばれる夢見がちの状態になって深い眠りにつくことができません。すると、朝起きてもすっきりせず不調が続くことにもなりかねないのです」

 と説明する。

■腸内環境を意識している人は気分が落ち込みにくい

 さらに、腸内環境を意識している人とそうではない人の、気分の落ち込み具合を比べてみると、意識している人では「とても良い」(18.1%)「やや良い」(49.3%)「やや落ち込んでいる」(27.7%)「とても落ち込んでいる」(4.9%)という結果だったのに対して意識していない人では「とても良い」(13.4%)「やや良い」(46.9%)「やや落ち込んでいる」(31.8%)「とても落ち込んでいる」(7.9%)となり、腸内環境を意識している人のほうが意識していない人に比べて気分が落ち込みにくいことが分かった。

「腸と脳は相関関係にあるといわれています。腸内環境がいいと脳内で『幸せホルモン』といわれるセロトニンも分泌されやすく、自律神経にも良い影響を与えます。一方で腸内環境が悪いとセロトニンが分泌されにくくなり、気分も落ち込んでしまうというわけです」(久手堅院長)

午後11時に気分が落ち込みやすい人は「夜ヨーグルト」がおススメ

 次に、腸内環境のために食べている食品にはどんなものがあるのかを聞いてみると、最も多かったのが「ヨーグルト」(52.9%)。以下「納豆」(31.7%)「チーズ」(18.1%)「キムチ」(14.0%)「きのこ」(13.1%)「バナナ」(11.3%)となり、ヨーグルトを筆頭に発酵食品を積極的に摂っている人が多いことが分かった。

「腸内環境のためには規則正しい食生活が大事で、食材選びがポイントになります。ヨーグルトや納豆、チーズ、バナナなどはどれも腸にとって良い食材だといわれています。中でもヨーグルトは乳酸菌が腸内細菌を活性化してくれることはもちろん、手軽に摂取しやすく習慣化しやすいのがいいですね」(久手堅院長)

 では、ヨーグルトの効果的な摂取の仕方はあるのだろうか。続けて久手堅院長に聞いた。

「午後11時に気分が落ち込みやすい人は『夜ヨーグルト』を試してみるといいでしょうね。午後10時から午前2時は腸のゴールデンタイムと呼ばれていて、腸の修復が行われます。腸のゴールデンタイムに向けて夜にヨーグルトを食べると乳酸菌が働き腸内環境を整えて、良い睡眠に導いてくれると思いますよ」

 今回の調査結果と久手堅院長の話から腸とメンタルヘルスとの関係がよく分かった。気分が落ち込んでいると感じている人は腸内環境を整えていくことを心がけるべきだろう。

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