老親・家族 在宅での看取り方

患者本人は在宅医療を拒否…家族の意向だけで始めたケースも

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 患者さんの自宅に上がり込み、患者さんとご家族の生活の中に入りこまなければ成り立たない在宅医療は、患者さん側と医療側の双方が十分に納得し合うことが大切です。

 ですが患者さんの中には、本人にその気がないケースもあります。まれではあるものの、患者さん自身は在宅医療を拒否しており、ご家族の意向だけで始めたというケースもあります。

 その場合、私たちは一方的に在宅医療を推し進めるのではなく、通院や入院が結果として患者さんのためにならないか、ご家族の心身の負担はどうかなど、さまざまな事情を考慮し、在宅医療を引き受けるか否かを包括的に判断するようにしています。

 最近、そんな患者さんご本人よりもご家族の意向で在宅を開始したケースがありました。

 その患者さんは85歳になる軽度の認知症の他、精神的にも何らかの支障を抱えていらっしゃる一人暮らしをする女性の方。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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