“目の梅毒”とはどんな病気なのか…新規感染者1万人超え必至で注目

梅毒によるブドウ膜炎は増える傾向に

■眼症状がある患者は意外と多い

「梅毒1期は自覚症状が少ないうえ、自然治癒してしまうので目の梅毒に気づく人はほぼいません。2期になると梅毒によるブドウ膜炎が見つかるようになります」

 ただし、同じブドウ膜炎でも目の中の発症箇所によって前部、中間部、後部、それに前部から後部まで広い範囲で炎症が見られる汎ブドウ膜炎がある。梅毒によるブドウ膜炎で多いのは、汎ブドウ膜炎で、前部ブドウ膜炎では虹彩毛様体炎として見つかることが多いという。

「第3期で見つかることはあまり多くありませんが、私が以前経験した40代男性は、物が二重に見えるという訴えで来院されました。血液検査の結果、梅毒による動眼神経麻痺だと判明。大学病院に依頼して後に斜視手術をしてもらいました。動眼、滑車、外転神経のいずれかが麻痺すると、その神経が支配していた領域の外眼筋が動かせなくなるので、麻痺性の斜視となります。すると、麻痺が起こっていない目は真っすぐ物を見られるものの、麻痺が起こっている目は別のところを見るため、物が二重に見えるのです。梅毒そのものは抗菌薬で治療しても、障害された神経は薬では元に戻らないことがあるのです。神経の障害としては視神経の萎縮で梅毒が見つかることも多い」

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