認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う

酒を飲む人、少し飲む人、飲まない人…認知症になりにくいのは?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 アメリカで行われた大規模研究で、酒を飲む60歳と飲まない60歳の脳の萎縮度合いを調べました。つまりは、認知症のリスクの程度を比較したのです。

 すると、萎縮が少ないのは次の順番でした。

1位…酒を飲まない人
2位…少量だけ飲む人
3位…大量に飲んでいたがやめた人
4位…大量に飲んでいる人

 アルコールの害についてこれまであまり言われてこなかったのは、アルコールが体に与える影響が、たばこと肺がんの関係ほどストレートではなく、医学的なエビデンスが弱かったから。

 少量飲酒は認知症予防に有効だというデータが過去には発表されてもいることから、「適量ならいいんでしょ」と考えている人もいるかもしれませんね。

 しかし私は、少なくとも物忘れが気になっているようなら、お酒の量をまずは減らすことをおすすめします。今後の人生を決めるのは、あなたです。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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