中居正広さん激ヤセで注目の「盲腸がん」は大腸の中でも最奥に発生する

日本ではがん死亡率2位
日本ではがん死亡率2位(C)日刊ゲンダイ

 元SMAPリーダー、中居正広さん(50)の体調不良の原因は盲腸がん──。激ヤセぶりに加え、週刊誌の報道もあってさまざまな臆測が流れているが、真偽は別にして、盲腸がんはどんな病気なのか? 京都府立医科大学大学院生体免疫栄養学の内藤裕二医師に聞いた。

 盲腸がんは、大腸がんの一種だ。大腸は食べ物の最後の通り道で、小腸に続き、右下腹部から時計回りにぐるりと回り、肛門へとつながる。

 小腸に近いほうから場所ごとに名前がついていて、盲腸↓結腸(上行結腸↓横行結腸↓下行結腸)↓直腸。肛門に最も近いのが直腸で、盲腸がんは、大腸がんのうち体の最も奥に近いところにできたがん。

「大腸がんは、世界的にも『右』と『左』に分けて捉えられています。『右』は盲腸から横行結腸まで、『左』は下行結腸から直腸までです。当然ながら、肛門に近い方、つまり『左』の大腸の方が症状が出やすい。赤い血が混じった血便で気づく人もいますし、解剖学的に『左』は腸管腔が狭く、便も固形のため、通過障害を来しやすく、お腹が張ったり、腹痛や嘔吐などの症状が出ることもあります」

 一方、「右(盲腸~横行結腸)」は腸管腔が「左」に比べて太い。また、腸内溶液は硬い便の形になっておらず、液状だ。だから、がんがあっても症状が出にくい。出ても、貧血や軽度の腹痛程度。そもそもが大腸がんは進行しないと症状が出てきづらい。「右」だとなおさらで、自覚症状だけに頼っていると、「気づいた時には手遅れ」となりかねない。

「大腸がんは、がんの中では予後がいいがんです。しかし日本の大腸がんの死亡数は世界一。人口は米国の2.5分の1しかないのに、大腸がんの死亡数は米国を上回っています」

 大腸がんのリスク要因には高タンパク食、高脂肪食、低繊維食がある。肥満の人は大腸がんリスクが高く、米国の方が日本より大腸がんが多くなるように思えるが──。

「死亡率を下げるという観点からは、早期発見、早期治療が肝要。自覚症状に乏しい大腸がんを早期発見しようと思ったら、がん検診の受診が不可欠です。米国では大腸がん検診が普及しているのに対し、日本ではその重要性がまだまだ理解されていません。それが、世界一の死亡率の高さにつながっているのです」

■50歳以上は特に注意

 一般的な大腸がん検診には、便潜血反応と大腸内視鏡がある。

「便潜血反応は大腸内視鏡よりも発見率が落ちます。ただ、便潜血反応は企業検診にも含まれており、手軽に受けられるので、大腸がん検診をまったく受けていない人は、せめて便潜血反応を毎年受けて欲しい。ここで重要なのが、陽性となったら速やかに消化器内科を受診し、精密検査を受けること。残念ながら、便潜血反応で陽性になっているのに、その後の精密検査に進んでいない人が少なくない」

 大腸がんを早期発見する上で理想は、大腸内視鏡を受けることだ。

「50歳以上はぜひ受けるべきです。毎年受ける必要はありません。遺伝的にリスクが高い人や、過去にポリープが見つかり切除した人などを除き、一般的には5年に1度でいい。米国では、10年に1度でいい、という州もあるほどです。ポリープを取ったことがある人でも、大きさによりますが、3年に1度で問題ありません」

 ちなみに、「毎年の便潜血反応」より「5年に1度の大腸内視鏡」の方が早期発見につながる可能性は高くなる。毎年受けるのは面倒なら、より確実性の高い「5年に1度の大腸内視鏡」を。

「大腸内視鏡は痛そうだから嫌、という先入観があるかもしれません。以前痛い思いをした人もいるでしょう。しかし今はファイバースコープの進化がすごく、これまで言われてきたようなつらさはほぼないと思います」

 どうしても大腸内視鏡に抵抗がある人は、カプセル内視鏡という手もある。2014年から、ある条件を満たせば保険適用となっている。

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