役に立つオモシロ医学論文

度重なる緊急事態宣言で日本人は“コロナ疲れ” 都道府県をまたいだ移動量を解析

2020年GoToトラベルキャンペーン時、多くの人でにぎわうJR新大阪駅改札内(C)日刊ゲンダイ

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、日本では4回にわたる緊急事態宣言が発令されました。宣言が発令されている間は、不要不急の活動や移動の自粛が求められ、飲食店には時短営業が要請されました。また、リモートワークの推進や大規模イベントが相次いで中止されたことも記憶に新しいと思います。

 人の流れが大きく抑制された結果、感染拡大が抑止され、緊急事態宣言には一定の効果があったことは確かです。一方で、長きにわたるコロナ禍において、さまざまな制約を受けることのストレス、いわゆる「コロナ疲れ」を感じる人も増えたことでしょう。

 そのような中、度重なる緊急事態宣言やGoToトラベルキャンペーン(国内旅行の再活性化を目的とした政策)によって、人の流れがどのように変化したのかを検討した研究論文が日本疫学会誌の2022年11月号に掲載されました。

 この研究では、スマートフォン端末から収集した位置情報を用いて、緊急事態宣言やGoToトラベルキャンペーン期間中の、都道府県をまたいだ人の移動量が解析されています。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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