睡眠をなるべく妨げないお酒の飲み方とは? 睡眠外来の作業療法士に聞いた

眠れないから飲んでしまう…

 なかなか眠れないから、寝る前にお酒を飲んでいる──。そんな人は少なくないだろう。アルコールが睡眠の質を低下させることは知られている。できるなら、飲まないほうが熟睡できる。しかし、それでもやっぱりお酒を飲みたい、あるいは飲まなければならない場合、どうすれば睡眠への悪影響を軽減できるのか。クリニックの睡眠外来で睡眠の質を改善する指導を行っている作業療法士の菅原洋平氏に聞いた。

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 適量の飲酒は寝つきを良くするのはたしかといえる。アルコールは脳内で興奮性の神経伝達物質の働きを抑え、抑制性の神経伝達物質GABA(ギャバ)のGABAA受容体を活性化して、鎮静や催眠を招くと考えられている。しかし、体内でのアルコールの代謝と排泄は迅速に行われるため、入眠作用は数時間で消失する。

 さらに、その後はアルコールの代謝物質であるアセトアルデヒドの覚醒作用によって中途覚醒が増え、睡眠が浅くなる。「アルコールは『覚醒』と『睡眠』に対して交互に作用する物質なのです。お酒を飲み始めると脳が覚醒して気分が高揚し、冗舌になり、しばらくすると眠くなってくる。寝ついたと思ったら途中で目覚めてしまい、その後は妙に気持ちが高ぶって眠れない……そんなパターンが多いのはそのためです。こうしたアルコールの作用が睡眠の質を低下させるのです」

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