五十肩を徹底解剖する

腱板損傷の対策自主トレは、弱い力でリラックスして行うのがコツ

リラックスした状態で行う(提供写真)
リラックスした状態で行う(提供写真)

 今回は肩腱板損傷の患者さんに指導している簡単な自主トレ方法を取り上げます。

 肩回りの筋肉は外側の大きな筋肉と内側の小さな筋肉の2種類があります。

 腱板とは内側の小さな筋肉で、これが加齢やケガで損傷すると、腕が上がらなくなったり、上げたときに引っかかり感が出ます。

 この小さな筋肉を鍛えるコツは、リラックスした状態で、軽い力のトレーニングを繰り返し行うことです。むやみに力を入れてフルパワーで行おうとすると、肩回りの外側の大きな筋肉まで動いてしまい、腱板に効かせられないどころか、腱板を余計痛めてしまう恐れもあります。

 では、やり方です。手のひらを自分の顔に向け肘を90度に曲げます。その姿勢を保ったまま、肘をテーブルの上に乗せます。肩に力が入らないようにリラックスした状態で、小指側に手を10回揺らしてみましょう。

 さらに親指側にも10回揺らします。これを1~2セット、行えればOKです。

 強い力を入れないために全く筋トレをしている気がしないかもしれません。しかし大きな筋肉の下に隠れている小さな筋肉を鍛えるには十分です。

 繰り返しになりますが、肩に力を入れずに行えるかが重要。コツコツと行っていけば少しずつ腱板が鍛えられていくでしょう。

 テーブルではなく、肘を壁につけたり、膝の上において行っても構いません。行う際には痛みが出ないよう、引っかかりが出る手前あたりでとめてください。

 本稿は、蓮田病院理学療法科・後藤淳先生からご指導いただきました。

安井謙二

安井謙二

東京女子医大整形外科で年間3000人超の肩関節疾患の診療と、約1500件の肩関節手術を経験する。現在は山手クリニック(東京・下北沢)など、東京、埼玉、神奈川の複数の医療機関で肩診療を行う。

関連記事