認知症は、15~20年と長い経過をたどって進行していく病気です。徐々にできなくなることはあるでしょう。記憶や理解、判断に間違いが出てくるかもしれません。しかし「できなくなったこと」を、特に周囲の方は、ことさらにクローズアップしないでほしいのです。
認知症の初期では、ご本人が一番「前はこんなふうじゃなかったのに、自分はどうしてしまったのだろう」と不安になっています。失敗しないよう、人に迷惑をかけないよう、敏感になっています。
そんな認知症の人の行動に、周囲が一喜一憂したり、批判したり、拒絶したりすると、誰でもそうだと思いますが、落ち込んだり、不安になったり、イライラして人に当たったりすることがあります。それを周囲から見ると、抑うつや興奮、暴力といったBPSDと呼ばれる行動・心理症状が悪化したと判断されてしまいます。
認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う