がんと向き合い生きていく

病理学教授の講義は命の尊さと医師のあり方を教えてくれた

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 古いお話になりますが、この記録は1967年4月13日に行われた佐藤光永教授による病理学講義の初回の内容です。 当時、医学部3年生だった私は感激して必死に筆記したものです(これは私のノートであり、間違っている箇所があれば私の責任です)。

 佐藤先生は、先に「病理学とは、病気の本態を追求、究明する学問」と話されました。以下、私のノートの記載を抜粋します。

 ◇  ◇  ◇

自然は流転して善悪はない。人は自然の中に生きて善悪を考える。
是は矛盾か 然らずか、否か。
吾 迷い苦しみて、なお人生を愛す。

人間が自然のままなら、弱肉強食である。
人間には感情あり、共栄共存である。
弱いものも生きる権利がある。
ここに人間がある。
東洋人→ 自然と共に……矛盾を感じる。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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