自覚症状がないから糖尿病は心配ない…は大間違い 境界型でも心臓病リスクが2.2倍

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「糖尿病になる前の血糖値が多少上がってきた段階から、動脈硬化による病気のリスクが上昇します。心血管病のリスクは、糖尿病のある人は3.5倍、糖尿病になる前段階である境界型でも2.2倍です」(大杉医師=以下同)

 高血糖が長く続くと、網膜症、腎症、神経障害といった細小血管障害という合併症が起こる。手遅れになれば、網膜症では失明、腎症では人工透析、神経障害では足壊疽による下肢切断に至る。米国と豪州の患者調査では、網膜症は糖尿病診断時にすでに見られ、検査で糖尿病と診断される4年半から6年半ぐらい前から影響が出始めると推定されている。

■HbA1cが1%低下するだけで合併症発症率は大きく下がる

 一方、これら糖尿病の合併症は、血糖値の低下で予防できる。英国で行われた臨床試験UKPDS33では、血糖コントロール指標であるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の1%低下に伴う合併症抑制率は、下肢切断あるいは致死的な末梢血管障害が43%減、細小血管障害が37%減、心筋梗塞が14%減、脳卒中が12%減だった。糖尿病は動脈硬化を進行させ、細小血管障害を起こすだけではない。がんや認知症のリスクを高め、歯周病と相互関係で負のスパイラルを招き、免疫力を低下させる。

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