「電子処方箋」10月末からの先行運用でクリアすべき課題が見えてきた

写真はイメージ

 ほかにも抗がん剤の中には、体表面積に応じて処方量が決められているものがあり、患者の身長と体重の数値から計算されている。また、抗がん剤治療のクールが進むごとに薬が効きすぎてしまうと白血球の数値が落ちていき、そのまま抗がん剤を続けると感染症にかかりやすくなって命を落とす危険がある。実際、白血球の数値が落ちたため抗がん剤治療を延期したり、中止するケースもあるという。

「血液をサラサラにする薬を使っている場合は、薬剤の血中濃度をチェックします。血液中に多く薬の成分が残っていると、出血しやすくなって転倒などで大きな事故につながるリスクがあります。ですから、血中濃度に応じて処方量を変更するのです。病院薬剤師では、患者さんの検査値に応じて薬の量を調節する作業は日常といえます」

 電子処方箋では検査値が記載できないとなれば、進みつつあった“質の高い薬剤処方”が後退しかねない。これを受け、先行運用エリアの千葉県旭では、電子処方箋でも検査値が確認できるようなプログラムを開発しているという。

 電子処方箋の本格的な運用がスタートするまで、さらなるブラッシュアップを期待したい。

4 / 4 ページ

関連記事