「睡眠薬」の現在…ベンゾジアゼピン系から新タイプへの切り替えが進んでいる

睡眠薬は、生活習慣の改善などの睡眠衛生指導を行ったうえで、短期的に使うもの

「メラトニン受容体作動薬は、睡眠に深く関わっているホルモンであるメラトニンの受容体に作用し、体内時計を整えて『夜になると眠くなり、朝になれば目覚める』という自然に近い睡眠に誘導します。オレキシン受容体拮抗薬は現在一番使っている睡眠薬で、脳の覚醒を促す神経伝達物質であるオレキシンの受容体を阻害することで、脳を睡眠状態に促します。どちらもいまのところ依存性は少なく、集中力や運動能力の低下、興奮しやすくなるなどの副作用も報告されていません」

 国の指針からも、今後、睡眠薬はBZ系からメラトニン受容体作動薬とオレキシン受容体拮抗薬に切り替わっていくのは間違いない。

「これまで長期にBZ系を使用してきた患者さんの中には、切り替えが難しいケースもありますが、新たに睡眠薬を処方する場合は、メラトニン受容体作動薬かオレキシン受容体拮抗薬が選択されるでしょう。新しい2つのタイプは、BZ系に比べると効き目が穏やかで、飲んですぐにガッと効いて眠れる感じではありません。ただ、それが自然に近い睡眠で、効きがいい薬が良い睡眠薬ということではないのです。当院では入院患者さんの同意をいただいたうえで、BZ系からオレキシン受容体拮抗薬に切り替えを進めていますが、しっかり眠れているという声が多く聞かれます」

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