知っておきたい睡眠知識

「良質な睡眠を得るための食べ方」時間栄養学の第一人者・柴田重信氏が語る

写真はイメージ(C)RyanKing999/iStock

 いつ、何を食べるかによって睡眠の質は変わる──。こう言うのは日本の時間栄養学の第一人者で早稲田大学先進理工学部の柴田重信教授だ。2017年のノーベル生理学・医学賞受賞で話題となった体内時計をつかさどる時計遺伝子のメカニズム。地球上の生物が持つ1日約24時間のリズム(サーカディアンリズム)を調節する役割がある体内時計だが、最近の研究で肥満や睡眠など私たちの健康に関わりがあることがわかってきた。そしてこの体内時計の調整に重要な役割を果たしているのが食事だという。柴田教授に「良質な睡眠を得るための食べ方」について聞いた。

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 ──そもそも体内時計とは何ですか?

「体内の時間軸を調整するシステムのことをいいます。私たちは本来24時間よりも少し長い1日を刻みますが、体内時計のおかげで24時間周期の毎日を過ごすことができています。体内時計によって私たちは朝目が覚めて、夜眠くなるのですが、そのほかにも朝になると血圧が上がって目覚めの準備がされたり、寝ている間は体温が下がったり、私たちが暮らす24時間の生活に応じて、体の状態が変化しています。ところがこの体内時計が正常に働かないことで、睡眠障害やうつ病、肥満や糖尿病、がんやアレルギーなど、さまざまな疾患につながることがわかっています」

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