知っておきたい睡眠知識

「良質な睡眠を得るための食べ方」時間栄養学の第一人者・柴田重信氏が語る

柴田重信教授(C)日刊ゲンダイ

「そうです。私たちは、良い睡眠にはとくに朝、和食を取るのがいいと考えています。そのひとつの理由は、和食には食物繊維が豊富だからです。大腸まで到達した水溶性食物繊維(大根や納豆などに多い)は腸内細菌によって発酵・分解され、酢酸、酪酸、プロピオン酸といった短鎖脂肪酸が作られます。この短鎖脂肪酸が末梢組織の子時計をリセットさせる能力を持っています。しかも、和食につきものの魚には魚油があり、その中にはドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)といった不飽和脂肪酸が含まれています。和食として、ご飯=炭水化物と水溶性食物繊維や不飽和脂肪酸を一緒に取ることで、末梢組織の子時計のリセットが可能になるのです」

 ──逆に夕食に取った方がいい食べ物はありますか?

「アミノ酸の一種で、リラックス効果によって眠りに導いたり、ストレスを緩和したり、睡眠の質を整えたりするγ-アミノ酪酸(GABA)は夜取るといいでしょう。トマトやパプリカなどの野菜、バナナやメロンなどの果物、ヨーグルトなどの乳酸菌発酵食品に豊富です。一緒に大豆などの豆類や大豆加工食品を取ると効果がアップします。これらに含まれるアミノ酸であるL-セリンは神経伝達物質であるGABAの作用を増強し、鎮静効果を高めるからです」

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