認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う

脳ドックで無症候性脳梗塞が発覚 これを機に禁煙外来へ

食事も大事(C)日刊ゲンダイ

 高血圧など危険因子となる病気がある人は、それらの治療が必須ですし、減塩、減脂肪、禁煙といった生活習慣の改善も有効です。かつて日本では血管性認知症が認知症の原因疾患の代表でしたが、その後大きく減ったのは、減塩の重要性が盛んに言われるようになったことが関係しています。

 3年前に結婚した男性(50)は、それまでの外食率ほぼ100%の生活から、「外食は記念日だけ」の生活に大転換しました。

 夫婦共に健康で長生きしたいからと食事内容に気をつけたところ、1年間で体重が16キロ落ちて標準体重になり、かなり高かった血圧、血糖値、コレステロール、中性脂肪が軒並み低下。基準値を余裕で下回るようになったそうです。

 この男性が結婚前の生活を続けていたら将来、脳血管障害、そして、その後の血管性認知症を起こしていても不思議ではなかったでしょう。いいタイミングでの方向転換だったと言えます。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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