認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う

脳ドックで無症候性脳梗塞が発覚 これを機に禁煙外来へ

食事も大事(C)日刊ゲンダイ

■将来の血管性認知症リスクを減らす

 こんなケースもあります。脳ドックで「無症候性脳梗塞」と診断された60代男性。特に何の症状もなかった男性が脳ドックを受けたのは、無症候性脳梗塞の危険因子についての記事を読み心配になっていたタイミングで、同級生の脳梗塞の知らせが届いたからでした。

 大きな脳梗塞ができると片側の手足のまひ、意識障害、言語障害などの症状が起こるのですが、無症候性脳梗塞は脳の細い血管が詰まって起こるため、脳の組織に影響があまり出ず、自覚症状もありません。それゆえに「隠れ脳梗塞」とも呼ばれています。

 しかし放置していいわけではなく、小さな脳梗塞が増えることで血管性認知症につながる可能性があります。また、本格的な脳梗塞や脳出血を招く危険があります。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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