五十肩を徹底解剖する

トレーニングしているのに肩が痛い人におすすめのストレッチ

(提供写真)
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 肩が痛み、高く上げられない原因のひとつに、肩後面の柔軟性の低下があります。

 試しに右手を顔の前から回し、左の肩甲骨を精いっぱい触ってみます。このとき、右手の届き具合、右肩後方の張りや痛みの度合いを確認します。次に、左手も同様に顔の前から回し右の肩甲骨を触ります。

 左右の回し方に差があったり、突っ張りに違いがあれば、回しが不十分で張りが強い側の肩後面は緊張が増していることがわかります。

 肩後面の硬さは、運動不足の中高齢者だけでなく、実は筋トレ実践者、野球やバレーボールなどの頭の上で腕を振るスポーツ従事者にも起こりやすいとされています。

 スポーツ愛好家の多くは個々にストレッチを行っていることと思いますが、肩後面は案外見逃しがちで効果的にストレッチされていないことが多い部位です。

「なぜトレーニングしているのに肩が痛いのか」という人は、知らずに肩後面を鉄板のように固めているのかもしれません。そこで今回紹介するのは寝転んで行うエクササイズ、スリーパーストレッチです。

 まず、ストレッチをする側の肩を下にして横になります。腕を顔の前に置き、肘を90度に曲げます。そして肘を支点にして腕を下に30秒間倒します。肩後面が伸びている感じがあれば、正しくストレッチできています。胴体が床に垂直になるようしっかり真横になり、肩甲骨を固定して行うことがポイントです。体が外側に開くと、うまくストレッチできません。

 ストレッチは連続して3~5回、軽い張りが生じるところを目安に行います。保持中に張りが悪化するなら、張りが一定になるところまで緩めます。心地よい痛みの範囲でも十分な効果が期待できます。なお、ストレッチはトレーニングとは別に、毎日行うことが望ましいです。

 本稿は、蓮田病院理学療法士・宮崎忍先生からご指導いただきました。

安井謙二

安井謙二

東京女子医大整形外科で年間3000人超の肩関節疾患の診療と、約1500件の肩関節手術を経験する。現在は山手クリニック(東京・下北沢)など、東京、埼玉、神奈川の複数の医療機関で肩診療を行う。

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