コロナ第8波に備える最新知識

コロナを5類に引き下げ検討 変えるべき「意識」と磨き続けたい「行動」

写真はイメージ
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 政府が新型コロナを2類相当から季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げる方向で検討しているという。感染症は重症化リスクや感染力に応じて1~5類に分類されている。2類は国や自治体が、入院勧告、就業制限、外出自粛などを要請することが可能で、検査や治療は公費負担となる。一方、5類では前述の要請がなくなる代わりに自費負担となる。また、2類は医療機関が国に患者数の全数報告が必要なのに対し、5類では基幹病院による定点報告となる。

 感染者からすれば5類なら感染しても隔離されることもなく、周りが濃厚接触扱いされるなど迷惑をかけることもない。「やっと自由になる」と喜ぶ人もいるだろう。しかし、それは私たちの意識を変えることでもあることを忘れてはいけない。公衆衛生に詳しい、岩室紳也医師が言う。

「日本は季節性インフルエンザワクチンを最も多く打っている国であり、マスク着用率の高い国ですが、毎年1000万人以上が感染し、数千人が命を失っています。新型コロナに関しても同じで、一定の犠牲はやむを得ないことを認めなければなりません。現在の医療ではそれが限界であり、ゼロコロナは不可能だということです。一方で、まだまだ変えたい生活習慣は多々あります」

■新たな感染症に備える

 新型コロナが5類扱いになったとしても感染症対策は変えてはいけない。理由は、いまも新型コロナの脅威の真っただ中にあるからだけではない。それは新型コロナに特化した対策でなく、感染症全般に共通する対策だからだ。

「かつては100年周期だったパンデミックが、いまや10年周期となっています。いつ未知なウイルスが登場するかわかりません。それに備えて意識せずに振る舞っていても、感染症対策につながる生活スタイルを身に付ける必要があります」

 子供たちへの愛情も必要だ。子供たちは新型コロナ禍で医療統計には表れないダメージを負い続けている。外遊びができない影響か、視力低下が増え、一時肥満率も高まった。「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によると、小中学校の不登校児童生徒数も24万4940人(前年度19万6127人)と大幅に増えた。その中には精神的な問題を抱える子供もいて、都内の精神科医によると「人に会うのが怖い」「将来が不安」と訴え、通院する子供たちが目立つという。

「成人年齢が引き下げられ大人扱いされている高校生への気配りも必要です。仲間づくりの大事な時期を新型コロナ禍で過ごしてきた彼らの不安やこころの満たされなさを解消するためにも、周囲の人たちとのつながりづくりで埋めてあげることが必要です」

 感染症対策は一生を通じて行うものとの意識を持つことが大切だ。

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