脱毛したいと思ったら…安全に受けるために知っておきたいポイント

脱毛に関心を持つ男性も増加
脱毛に関心を持つ男性も増加

 全国の消費生活センターには、エステ脱毛について相談が多く寄せられているという。女性の方が多いものの、脱毛に関心を持つ男性の増加とともに、2020年度からは男性からの相談も増加しているとのこと。

 男性専門の医療脱毛専門院「メンズリゼ」総院長の赤塚正洋医師によれば、医療脱毛を契約した40歳以上の男性患者数は5年前と比較して4.9倍増だという。

 ところで、メンズリゼでは「医療脱毛」。「エステ脱毛(あるいは光脱毛)」という言い方もあるが?

「医療脱毛は、レーザーを毛根やその周囲周辺組織に照射して、毛をつくったり生やしたりする細胞を破壊し、毛が半永久的に生えてこないようにします。細胞を破壊することは医療行為になるため、医療機関でしか行えず、施術は医師か医師の指示を受けた看護師に限られます。エステ脱毛は強い光を毛根などに照射します。細胞は完全に破壊しないので、一時的な減毛であり、毛の量が減ってもまた生えてくる。無資格者でも行えます」(赤塚正洋医師=以下同)

 エステ脱毛は、医療脱毛に比べて、一見値段が安い。しかし、どちらも回数を繰り返す必要があることを念頭に置いておくべき。医療脱毛のレーザーは、エステ脱毛の光より威力が強いので、終了までの期間が短くなる傾向がある。「医療脱毛は高く思えたけど、回数が少なかったのでトータルでは安かった」というケースもあり得る。

「脱毛のゴールはみなさん、違います。毛の量が減って手入れが楽になればいいのか、ツルツルになりたいのか」

 ツルツルをゴールにして医療脱毛を受けるならそれなりの回数が必要だし、減毛でよければ、満足がいった段階で終了とすればいい。脱毛エステで十分かもしれない。

 ちなみに「永久脱毛」という言葉がよく使われるが、医療脱毛であっても「一生一本も生えてこない」わけではない。ただ、毛量が明らかに減った状態が長く続くのは確か。

■毛嚢炎ややけどは起こり得る副反応

 痛みが気になる人もいるだろう。前述の通り、医療脱毛のレーザーは威力が強い。

「その分、医療脱毛はエステ脱毛より痛い。脱毛する部位によっても痛みが異なりますが、輪ゴム2~3本ではじかれた感じ、と説明しています。ただ、痛みの受け取り方は人それぞれで、すごく痛がる人もいれば、割と平気な人もいて、受けてみないとわかりません。痛みを軽減する麻酔薬もあるので、それを活用する手もあります。麻酔は、塗る麻酔とマスクをつけて吸入する笑気ガス麻酔があります」

 消費生活センターには皮膚障害ややけどなどの危害情報についても寄せられているが……。

「毛だけじゃなく肌にも熱が伝わるため、赤みが出たり、ひりひりしたりということは、程度の差はあれ、だれにでも起こります。ただ、1、2日くらいで赤みやひりひりは消える。レーザー照射によって毛穴が開き、そこから雑菌が入ってニキビのようなものができる毛嚢炎も、特にヒゲの脱毛では起こりやすい。清潔にして刺激しないようにしていると早く治ります。症状によっては治療薬を処方します」

 重要なのは、赤み、肌のひりひり、毛嚢炎、やけどといった「起こり得る副反応」を、契約前にしっかりと説明されたか。副反応が出た場合、適切な処置をしてもらえるか。

「当院ではそういった可能性があることを理解してもらった上で、脱毛するかどうかを決めてもらっています」

 逆にいうと、説明が不十分なところでは、脱毛に限らず、施術を受けないほうがいい。

 男性では、肌が弱くて毎日のヒゲ剃りが大変とヒゲの脱毛を希望する人が少なくない。この何年かは、介護を受けるようになった時、清拭や排泄後の拭き取りの際に介護者の手を煩わせたくないからと、アンダーヘアを脱毛する人も増えている。すぐに飛びつくのではなく、疑問点、不安点をクリアし、納得してから、信頼できるところで施術を受けるべきだ。

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