高血圧対策の時短・簡単エクササイズ 「みんなで筋肉体操」の谷本道哉先生に聞く

スクワットはしっかり奥深くしゃがみこむ事が大事(提供写真)
スクワットはしっかり奥深くしゃがみこむ事が大事(提供写真)

 冬は、血圧が上昇しやすい。体温を保つため血管が収縮するからで、加えて忘年会や正月で塩分や脂肪分の多い食事を取る機会が増えるのも、血圧上昇に関係する。そこで、高血圧対策として、自宅でできる「時短・簡単エクササイズ」はどうか? NHK「みんなで筋肉体操」などで運動の効果をわかりやすく解説する順天堂大学スポーツ健康科学部先任准教授の谷本道哉さんに聞いた。

「高血圧対策では、減塩とともに運動も重要です。研究結果として、有酸素運動で血圧が下がり心血管疾患の死亡率が下がることが明らかになっています。筋トレと両方合わせてやることで、相乗効果があることも分かっています」

 場所を選ばず簡単にでき、かつ効率が良い方法としてお勧めするのは、次の4つだ。いずれも、毎朝の実行がお勧め。

■快適になる超ラジオ体操1

「ラジオ体操は非常に優れた運動ですが、速いスピードで適当にやりがち。ゆっくり、丁寧に、大きく体を動かしてやることがポイントです」

 注目したいのは背骨と肩甲骨。デスクワークなどであまり動かないと背骨回りがこわばりやすい。疲れや凝りの原因になる。背骨の動きと連動する肩甲骨とあわせて大きく動かすといい。

(1)両手を前でつないで、下を向いて前屈。もっと前に倒して戻る。

(2)上を向いて、腰の後ろに手を当てる。グーンと反って、戻る。

「前に倒すときはしっかり下を向く。後ろに行くときは、腰の横ではなく後ろに手を当て、気持ち良く反らせて戻る」


■快適になる超ラジオ体操2

(1)両手を前でつなぎ、つないだ手が前に引っ張られるイメージで目いっぱい前に突き出し、背中を丸める。

(2)肘を後方に目いっぱい引き、思いっきり胸を張る。

(3)両手を前でつないで大きく前に出す。手を返して頭上に上げて伸びをする。

 大きく伸びたら、両手を離し、外から大きくゆっくり腕を下ろす。

「つないだ手を返すことで、一層体が伸びます」

■筋トレ1

「加齢とともに筋肉は落ちます。そして、体を支える大事な部分ほど筋肉が落ちやすい。しかし、適応能力が高く、筋トレをすれば何歳からでも発達します。しっかりした筋トレを高齢者にしてもらうと、太ももの筋肉で、12週間で11%の筋肥大があったとの報告もあります。これは、年齢的に10年分ほど若返ったことに相当します」

 スクワットを行う。ただ、浅いスクワットはNG。しっかり奥深くしゃがみこむことが大事だ。

「つま先をちょっと外に向け、股関節から折り畳むように、背中を伸ばしたままお尻を突き出し、深く深くしゃがんでから立つ」

■筋トレ2

 腕立て伏せだ。スクワットと同様に、深くやることが大事。安定したテーブルに両手をつき、手の幅を肩幅よりちょっと広めにする。体をまっすぐにしたまま、胸がテーブルに触れるまで下ろして上げる。きつければ、片足を少し前に出すとやりやすくなる。

「姿勢と血圧は大きく関係しており、寝転んでやると血圧が上がりやすい。立って心臓の位置を高めにすると血圧は上がりにくくなります」

 筋トレは、大きな動作で丁寧に行うこと。日常の歩行を速くすることも大事。しっかり腕を振ることで歩く速度は自然と上がる。

「腕を振ると反作用で脚の振りが強くなります」

 谷本さん自身、リュック姿で速歩きを実践しているそうだ。

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