健康長寿のカギは腎臓にあり

むくみはもしかして…心配になった時に確認するポイント

むくみがあるなら生活習慣の見直しを(写真はイメージ)
むくみがあるなら生活習慣の見直しを(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 前回に続き、今回も患者さんからのよくある質問について答えたいと思います。

「朝起きたら顔やまぶたのむくみがひどいのですが、腎臓が悪いのでしょうか」「靴下のゴムの痕が取れにくい。足のむくみがひどいのは、腎臓が悪いから?」

 こんなふうに「むくみ」に関する質問も多いのですが、健康診断の数値で「腎機能が低下している」という結果が出ていなければ、それらのむくみは腎臓病とは関係がないことが多い。つまり、おおかた腎機能が低下していなければ「むくみ=腎臓病?」とすぐに結び付けなくていいということです。

 腎機能が低下して腎臓の病気になった場合には、たしかに体にむくみが生じるようになります。

 腎臓にある毛細血管の塊のような「糸球体」という部分がうまく機能しなくなると、血液を十分ろ過することができなくなる。その結果、体内の余分な水分や塩分が排出されず、むくんでしまうんですね。

 むくみの症状がみられる腎臓病は、糖尿病などの生活習慣病が原因の腎臓病だけでなく、ネフローゼ症候群などの免疫が原因の腎臓の病気の可能性もあります。

「どういう生活が腎臓にダメージを与えるか」も、多くの患者さんが気にするところです。

 日常生活で意識してほしいのは、「生活習慣病の予防」。生活習慣病とは、普段の生活習慣(運動習慣や食習慣など)が原因で発症する病気です。予防のためには、いまの自分の体の状態はどうなっているのかを健康診断などで定期的にチェックして、知っておくことが大切です。

 禁煙はもちろん、過度の飲酒を避けるなど、ある程度年齢を重ねたなら、生活習慣の見直しをおすすめします。喫煙のリスクが多く発信され、昔に比べて禁煙は世の中でかなり進んだと思います。

 お酒については「酒は百薬の長」ということわざもありますが、残念ながら、2018年ごろから少量の飲酒でもリスクがあることを指摘する海外論文がいくつか発表されています。

 当クリニックには生活習慣病外来も設けているため、こういった趣旨の論文については引き続き注目していきたいところ。なお、厚生労働省は「『節度ある適度な飲酒』として、1日平均純アルコールで約20グラム程度である旨の知識を普及する」を目標としています。

 純アルコール約20グラムは、ビールなら中瓶1本、日本酒なら1合、チューハイ(7%)なら350ミリリットル缶1本になります。そのほか肥満の是正や、定期的な運動をこころがけていくとよいでしょう。

森維久郎

森維久郎

三重大学医学部卒業。日本腎臓学会専門医。2020年5月、腎臓内科、糖尿病内科、生活習慣病の診療に特化したクリニックを開院。腎臓について伝える情報サイト「腎臓内科ドットコム(https://jinzonaika.com/)」を監修。

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