メガネを語る

メガネを最初に日本に伝えたのは、宣教師フランシスコ・ザビエル

写真はイメージ
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 2022年はメガネ作りにかかわる人にとって記念すべき年です。メガネ業界初の国家資格「眼鏡作製技能士」が誕生したからです。その目的は眼科専門医の先生方と連携しつつ、国民により良いメガネを提供して目の健康を守れるよう、メガネ作製技術を高めていくことです。今後はメガネを作りたい人にとっての信頼の証しとなるでしょう。

 私はメガネ業界紙の編集記者として長く業界に携わっています。せっかく新たなメガネの資格ができて、メガネを取り巻く環境が変わったわけですから、これを機に一般の方々にもメガネについてよりよく知っていただきたいと思い、コラムをお引き受けしました。

 まずはメガネはいつ、誰により日本に持ち込まれたかについてお話ししましょう。

 一般的には1551年に宣教師のフランシスコ・ザビエルが、周防の戦国大名・大内義隆に献上したのが最初だったといわれています。もとになったのは大西克知博士の「古ルキ眼鏡」という論文で大正4年の「日本眼科学会雑誌」に発表されています。

 しかし、その一方で日本最古のメガネは京都・大徳寺大仙院所蔵の古メガネだという説もあります。寺伝によれば、室町幕府8代将軍・足利義政使用のものを、12代将軍・義晴が受け継ぎ、それを大仙院開祖の古岳禅師に与えたと伝えられているそうです。義晴は1550年には亡くなっていることから、寺伝が正しければメガネはザビエルより前に日本に到着していた可能性があるというわけです。

 残念ながらそれを証明する書物などがないのに対して、ザビエル説は1600年代に別の宣教師がつづった「日本西教史」が根拠になっています。そのため、ザビエル説が通説となっているのです。しかし、いずれにせよ、少なくとも470年以上前からメガネは日本に存在していたというわけです。

(メガネウオッチャー・榎本卓生)

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