上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

心臓病を抱える人が飛行機を利用して長旅をするときの注意点

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 ほかの注意点としては、機内で調子が悪くなった場合は設置されている酸素を吸引すれば、基本的には一時的に改善するケースがほとんどです。そのうえで、我慢はせずにCAに申し出て対応してもらいましょう。もちろん、旅行前に体調が悪ければかかりつけ医に相談し、飛行機に搭乗する前には心臓トラブルや治療歴があることを航空会社にきちんと伝えておくことが大切です。

 もうひとつ、機内では節度のある行動を心がけてください。海外旅行などで長時間のフライトになると、機内ではさまざまな飲食物が提供されます。飲んだり食べたりすれば、それに合わせて排泄も生じます。また、なかなか寝付けないケースもあって、飲食、排泄、睡眠のペースが崩れがちになります。これは心臓にとって負担がかかる状態といえます。ですから、機内でも普段通りの生活ペースで過ごせるように自己管理することが大切で、たとえば、いきなりお酒を注文してガンガン飲み続けたり、眠るためにアルコールを流し込んだりといった行動は避けましょう。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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