高齢者の正しいクスリとの付き合い方

“食べる”に悪影響を与える副作用は「その他」に分類されている

写真はイメージ

 以前にもお話ししましたが、健康寿命を支える重要な柱のひとつに“栄養”があります。そして、健康寿命という意味での“栄養”は、元気に口から“食べる”ことを意味します。そういったことを考えると、“食べる”に関連する副作用は医療においてはたしかに「その他の副作用」に分類されますが、社会的には「重篤な副作用」と考えるべきだと個人的に強く感じています。

 超高齢になるとどうしても多くの機能が低下してしまい、そのため“食べる”ことができなくなることもあるでしょう。ただ、そうなる前に「何か別のことが原因で“食べる”ことができなくなっている可能性」を探してみるのもいいかもしれません。それが加齢によるものであれば、ある程度受け入れるしかありません。しかし、その原因としてクスリが疑われる場合には、クスリを中止することで再び“食べる”ことができるようになるかもしれません。結果として、しっかり“食べる”ことができて健康になれば、クスリを中止してよかったと実感することができます。

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東敬一朗

東敬一朗

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

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