Dr.中川 がんサバイバーの知恵

大腸がんの罹患率や死亡率 生活習慣の影響は遺伝的影響を上回るのか?

2021年、大腸がんで手術を受けたことを報じられたペレ(C)ロイター

 さて、フランスでは、サッカーの代表選手と一般のフランス人を調べた研究があります。1968年から2015年までのデータをさかのぼり、後ろ向きに調べた研究です。その結果、サッカー選手は、一般国民に比べて全死亡率が31%低いことが分かりました。

 心血管系死亡率もがん死亡率も低く、それぞれ18%、33%低いのです。アスリートならではの健康的な生活、気をつけた食事が影響しているのかもしれません。

 一方、認知症は一般国民より3.4倍も高い。因果関係ははっきりとしませんが、ヘディングの影響があるのではないかという声もあり、大問題となっています。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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