医療は年々、進歩を遂げています。診断や治療機器は急速に進化していますし、よく効く薬も続々と開発されています。それに伴い、より質が高く、患者さんの負担が少ない治療が行われています。しかし、だからこそ「適切な医療」をもう一度見直すべきだと考えています。
中でも強くそう感じるのは「薬の処方」についてです。近年、大きな問題とされているのが「多剤処方」と「長期処方」です。高齢化が進んで慢性疾患を抱える患者さんが増えたことで、複数の薬を大量に処方される患者さんが増えています。厚労省の調査でも、65~74歳の15%、75歳以上では26%が7つ以上の薬を処方されていることがわかっています。
さらに、本来であれば担当医の診断の下、1カ月に1回ペースで処方されていたような薬を、いっぺんに3カ月分もらうといったケースも増えました。コロナ禍で受診を控える人が多くなったこともその傾向に拍車をかけています。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」