医者も知らない医学の新常識

新型コロナ感染後は糖尿病に注意! 1年以内に発症リスク増

写真はイメージ

 新型コロナの感染は軽症化しているといわれています。熱や咳などの症状はあるものの、多くの患者さんは普通の風邪程度で回復することが多いのです。

 それでは、新型コロナは風邪と同じになったのでしょうか? 心配なのはむしろ治った後ではないか、という専門家の意見があります。新型コロナに感染後、後遺症と呼ばれるような長期の体調不良が起こることが知られています。それに加えて最近注目されているのが、感染後に別の病気が増えるのではないか、という知見です。

 今年のランセットという一流の医学誌に掲載された論文によると、新型コロナウイルスに感染した18万人以上の高齢者を観察したところ、その後1年以内に糖尿病になるリスクが40%も増加していたのです。そのリスク増加は病気が重症であるほど高い傾向はありましたが、入院を要さない軽症の事例でも確認されています。

 なぜ、新型コロナに感染してから糖尿病が増えるのでしょうか? これは正確には分かっていません。膵臓のインスリンを分泌する細胞に、ウイルスの感染が起こるという説もあります。また、感染により免疫の状態が変化して、免疫細胞が膵臓を攻撃してしまう、という可能性も指摘されています。

 いずれにしても新型コロナに感染した後は、糖尿病の兆候がないかどうかを健診などでチェックする必要がありそうです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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