梅毒が疑われる場合の対処法 日本一の性感染症治療医が教える

検査は性的交渉を行って6週間経ってから(C)PIXTA
検査は性的交渉を行って6週間経ってから(C)PIXTA

 梅毒は治療すれば治る病気だ。にもかかわらず2011年以降は基本的に右肩上がりだ(2019~2020年は一時減少)。2012年には年間1000人以下だった新規感染者数が、2022年は1万3000人に達する勢いだった。原因は梅毒は自覚症状に乏しくて見つけにくいからだけではない。検査でも医師の前でパンツを脱ぐ必要があると勝手に妄想し、その恥ずかしさから検査を避けているうちに周囲にうつしてしまった可能性が高い。どうすればいいのか?

 性感染症専門医で「プライベートケアクリニック東京」(東京・新宿区)の尾上泰彦院長が言う。

「昔と違っていまは梅毒は治療すれば治る病気です。早期の梅毒なら2021年1月に発売された梅毒治療の新薬『ステルイズ』を臀部などに注射すれば治療は終わり。長く通院して服薬治療を受ける必要もありません」

 この薬の登場により途中で治療を中断する患者が劇的に減ることも期待されている。ちなみに、この薬の副作用として、アナフィラキシーショックが警戒されているが、2021年1月の認可して以来、アナフィラキシーの報告はゼロだという。

 パンツを脱ぐのが嫌ならまずは検査だけを受ければいい。検査は血液検査で性感染症専門医が在籍している医療機関がおすすめだが、男性なら泌尿器科、女性なら婦人科などで受けられる。皮膚症状があるなら皮膚科でも検査してくれる。民間医療機関での検査は自由診療扱いで検査料は医療機関により異なる。プライベートケアクリニック東京では税込で4400円~だという。

「検査は性的交渉を行って6週間経ってから行いましょう。梅毒に感染すると梅毒トレポネーマと呼ばれる病原菌に対して特異的な抗体がつくられます。その特異的な抗体を検出するのに4~6週間程度必要だからです。ただし、自覚症状があった場合はすぐに受診しましょう」(尾上院長)

 梅毒感染を曖昧にしたまま、周囲の人にうつしてしまえば、人間関係までも破綻しかねない。気になる人はまずは検査して、早期発見早期治療に努めることだ。

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