痛みスッキリ からだ楽チン

「そのうち治る」と思っていたら、どんどん痛くなり眠れなくなった

写真はイメージ

 そのうち治る──。これは人が持つ自分本位の考えではないでしょうか。

 人は、痛みが強くなるまでは「そのうち治る」と楽観するのは仕方ないと思います。さらに人はもともと運動が嫌いな遺伝子が組み込まれています。それゆえによほど自分を律しない限り、肩の痛みが生じてくると運動をますますしなくなります。「痛み↓運動しなくなる↓肩以外のところも筋肉が硬くなる↓再び肩の動きなどに悪影響を及ぼす」という、負の連鎖が起こるのです。

 ここで、ひとつ論文になった研究を交えてお伝えします。2017年に「Physiotherapy」という雑誌から下記の結論が導き出された研究が発表されました。

「凍結肩(五十肩のひどくなった状態)は自然に治るエビデンス(証拠、ないしは確証)はない」

「そのうち治る」と我慢して、その我慢が報われるならいいのですが、肩の痛み、中でも五十肩が疑われる場合は、そうとはいかない可能性が高いのです。

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森大祐

森大祐

整形外科全般診療に長年携わる。米国トーマスジェファーソン大学で人工肩関節の臨床研究を行い、2000例超の肩関節手術を経験。現在は京都下鴨病院で肩関節や肘関節、スポーツ障害患者に診療を行う。サイトで整形外科疾患の情報を発信。

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