東洋医学を正しく知って不調改善

肩や背中の凝りに効くツボは? 「膏肓」はあらゆる症状に効く

(C)日刊ゲンダイ

 肩甲骨と背骨の間、肩甲骨の際あたりに、膏肓(こうこう)というツボがあります。これが、肩や背中の凝りにお勧めです。凝り以外にも、さまざまな症状に対してよく用いられ、中国・唐の時代の医学書に「あらゆる症状に効くツボ」と書かれているほどです。

 ところで、膏肓という言葉は「病膏肓に入る」という故事成語でも知られています。その来源は中国の春秋時代、紀元前770年から紀元前403年の歴史を記した書「春秋左氏伝」にあります。

 晋の景公が重病にかかったとき、他国から名医が派遣された。その名医の到着前に景公は夢を見た。その夢とは、2人の子どもの姿になった病気が名医から逃れるために肓の上、膏の下に隠れる、というもの。膏は心臓の下部、肓は横隔膜の上部と言われていて、体の奥深いところ。名医が到着して景公を診察すると「病が肓の上、膏の下に入ってしまっているので治療が届かないため、手の施しようがない」と述べた──。

 ちなみにこの肩甲骨の内側には譩譆(いき)というツボがあり、「あ~ぁ」という声が出るほど気持ちがよいという意味を持っています。

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天野陽介

天野陽介

日本医学柔整鍼灸専門学校鍼灸学科専任教員。北里大学東洋医学総合研究所医史学研究部客員研究員も務める。日本伝統鍼灸学会、東亜医学協会、全日本鍼灸学会、日本医史学会、日本東洋医学会所属。

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