医者も知らない医学の新常識

少し体を動かすだけで長生きは出来る 一流医学誌で研究報告

ちょっとした運動で総死亡リスクが低下
ちょっとした運動で総死亡リスクが低下(C)日刊ゲンダイ

 運動をする習慣が健康に良いというのは、誰でも「それはそうだろう」と感じていることですし、科学的にも立証されている事実です。運動は多くの病気の予防になり、健康な長生きのために有効な習慣と考えられています。しかし、その場合の運動というのは、30分以上ジムで汗を流したり、時間をかけてストレッチやジョギングをしたり、というような「本格的な運動習慣」のことです。

 一方で、会社でデスクワークをしているような人は、会議のために速足で移動をしたり、階段を駆け上がったりすることが毎日あると思います。そうしたちょっとした運動とも言えないような身体活動には何の意味もないのでしょうか?

 これまではそうした身体活動を、運動として評価するような方法がなかったので、そのような疑問に答える研究結果はありませんでした。今年のネイチャー・メディシンという一流の医学誌に、ウエアラブル端末を利用した研究結果が報告されています。携帯の端末に特殊なソフトを導入して、毎日の活動を詳細に記録したところ、平均で1日3回、1回が1~2分の身体活動を継続すると、総死亡のリスクが38~40%、動脈硬化の病気による死亡のリスクは48~49%も低下することが確認されたのです。

 階段を意識的に使うだけでも長生き効果はしっかりあるようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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