独白 愉快な“病人”たち

緩和ケア医の山崎章郎さん 抗がん剤の過酷な副作用を経験して「がんと共存」を選択

山崎章郎さん(提供写真)

 しかしそれも4クール終了時に限界となり、1カ月休薬することになりました。すると手足の状態が改善され、嘔気が消え、食欲が回復したのです。

 治療を再開すると再び副作用に苦しみました。けれど7クールまできたので「やりきろう」と思った直後、CT検査の結果で「両肺に多発転移」が見つかったのです。結果的に再発予防の抗がん剤は私には効果がありませんでした。

 次の段階の抗がん剤を勧める主治医に「1カ月考えさせてほしい」とお願いしました。抗がん剤を受けるメリットが見当たらなかったからです。

■エビデンスづくりに奔走

 ステージ4の大腸がんの場合、標準治療の目的は「治癒」ではなく「延命」です。しかも延命した時間の大半を副作用との闘いに費やす可能性が高い。やがて打つ手がなくなると自宅療養となり、最期を待つというのが終末期医療の現実です。

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