高血圧は将来的な心臓病や脳卒中の発症リスクを高めることが知られています。そのため、高血圧の発症予防や、血圧の適切なコントロールに対する関心は、日増しに高まっているといえるでしょう。
減塩や適度な運動など、高血圧の予防に効果的と言われる生活習慣はさまざまですが、温泉入浴もそのひとつだと考えられています。しかし、どのような入浴スタイルが高血圧の予防に効果的なのかについて、詳しいことは分かっていませんでした。
そんな中、温泉入浴に関する習慣と高血圧の関連性を検討した研究論文が、国際的な科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」の電子版に2022年11月14日付で掲載されました。
この研究は、温泉で有名な大分県別府市の住民を対象としたアンケート調査の結果を解析したものです。対象となったのは、アンケート調査に回答した65歳以上の1万428人で、このうち高血圧を患っていた人は4001人でした。
温泉入浴の習慣について解析したところ、高血圧に該当する人の割合は入浴時間が10分未満の人と比べて、10~19分の人で16.8%、20~29分の人で23.5%、統計学的にも有意に低下していました。ただし、30分以上の人では高血圧との関連性は認められませんでした。
また、午前9時以前に入浴する人と比べると、午後7時以降に入浴する人では、高血圧に該当する人の割合が15%、統計学的にも有意に低下しました。なお、二酸化炭素泉、硫黄泉、炭酸水素塩泉などの温泉の種類と高血圧に関連性は認められませんでした。
この研究結果だけで入浴スタイルと高血圧の関連性を決定づけることはできません。ただ、血圧が気になる方では、朝方よりも午後7時以降に、10~30分未満を目安に温泉入浴すると良いかもしれません。
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