■心臓専門医が転身するケースも
それまで大学病院などで心臓血管外科や循環器内科を専門にしていた医師が、後々は慢性心不全の患者さんの在宅医療や緩和ケアを中心に診ようと、比較的若い50代くらいから“転身”する人もいます。現在、日本における心不全の患者さんは約120万人、2030年には130万人を超えると推計されているように、患者さんが急増していることが一因です。
前回お話ししたように、心不全に対する緩和ケアは、患者さんのQOLの維持・向上のためにどのような医療が有効かのエビデンス(科学的根拠)がまだ少ないのが現状です。そのため、がんの緩和ケアとは違って、状況に応じてどんなケアを行えばいいのかなど、具体的な方法がきちんと固まってはいません。ただ、それまで心臓の治療を専門にしていた医師が緩和ケアを行うようになっていけば、どんどんデータが増えていき、より有効な対応が構築されていくでしょう。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」