認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う

認知症だと思っていたら別の病気だった…医師の大半が経験

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 昨年、日本最大級の医療従事者専用サイト「m3.com」が、会員の医師を対象に行った意識調査(回答者:勤務医746人、開業医212人)では、「当初、認知症を疑ったが、実は別の疾患だったという症例を経験したことはありますか?」という質問(単一選択)に対して、半数近い48%の医師が「ある」と回答。実際の診断として最も多かったのは慢性硬膜下血腫(33.3%)でした。ちなみに、2番目に多かったのがうつ病(19.6%)、3番目が正常圧水頭症(17.6%)でした。

■打撲の程度が軽くてもリスクがある

「アルツハイマー型認知症と思い込んだまま、父にCT検査を受けさせずにいたら、今頃どうなっていたことか」と話すのは、北関東在住の女性。

 昨年、同居する80代の父親の様子で変なことが続き、物忘れも目立ってきたことから、認知症を疑って近所のかかりつけ医のところへ連れて行きました。いくつかの検査の後、「年齢も年齢ですし、アルツハイマーかもしれません。ただ念のため頭部CTも撮った方がいいです。うちでは装置がなくて撮れないので、紹介状を書きましょう」と言われました。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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