急ぎ、大学病院の脳神経内科の予約を取った女性。検査の結果、慢性硬膜下血腫がわかりました。慢性硬膜下血腫は、局所麻酔で頭蓋骨に小さな穴を開け、血腫を洗浄するという、比較的簡単な手術で治療が行われます。たいていの患者さんは、この治療で症状が改善します。
慢性硬膜下血腫は、前述の通り、頭部の打撲などが原因になります。一般的に高齢者はバランス感覚の低下や足腰の弱さで転倒しやすい。薬の影響で転倒しやすくなっていることもあります。ゆえに、慢性硬膜下血腫も起こしやすい。打撲の程度が軽くても慢性硬膜下血腫のリスクはありますし、本人の体は元気であっても、「慢性硬膜下血腫を起こしていない」とは言い切れません。
慢性硬膜下血腫は「治る認知症」ではありますが、治療がされなかった間にADL(日常生活動作)が低下してしまい、自活が難しくなる場合もあります。早めの検査、治療が肝要です。
認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う