科学が証明!ストレス解消法

松・竹・梅の「竹」をつい選んでしまう理由とは?

写真はイメージ(C)iStock

 その結果、36%が高級そうなペンと交換し、64%がそのまま6ドルを保有したといいます。40人ほどが、ペンとの交換を選んだということになります。

 そして次に、先ほどのペンと比べると安価に見える安っぽいペンを“第3の選択肢”として、同じように「そのまま保有」と「(どちらかのペンと)交換」の希望を募ったそうです。すると、どうなったか?

 予想通り、安っぽいペンを選んだ人はごくわずかだったのですが、驚くことに、高級そうなペンと交換した人が46%に上昇したというのです。つまり、魅力的ではない選択肢を追加するだけで、あまり選ばれない選択肢の選択率を高められることが示唆されたのです。

 シモンソンとトベルスキーは、こうした実験をいくつも行っていて、たとえば被験者にカメラを選ばせる実験でも、「機種の性能」や「値段」に関係なく、真ん中のカメラが最も人気が高いことがわかったそうです。松・竹・梅でいうところの「竹」が、常に人気を誇る──。こうした傾向を、心理学用語では「妥協効果」と呼びます。

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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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