ただ、クスリは年々進歩していて、新しい成分のタイプも登場してきています。そのため、「以前と比べるとクセになりにくいクスリが増えている」ことは疑う余地がなく、今現在、主流となっているのはそういったクスリがほとんどです。
メラトニン受容体作動薬は、基本的に体内時計を調節して睡眠作用を示すクスリです。強制的な睡眠ではなく自然な睡眠につなげるクスリであるため、「クセにはならない」といえます。そのため、安心して使用できる半面、今すぐ眠りたいというときには適さないクスリでもあります。
オレキシン受容体拮抗薬は、覚醒に関係しているオレキシンの作用を抑えることで中途覚醒や早朝覚醒といった不眠症に用いられます。こちらもメラトニン受容体作動薬と同じく、強制的に睡眠させようとするクスリではありません。ですから、これも「クセにならない」クスリになりますが、中には入眠困難にも効果的なタイプもあります。悪夢を見るなどの副作用はありますが、今現在、一番安全性が高く、かつ効果が期待でき、さらには「クセにならない」という点で、オレキシン受容体拮抗薬は最もおすすめできる睡眠薬といっても過言ではありません。
高齢者の正しいクスリとの付き合い方