アメリカで、キッチンの必需品ガスコンロが禁止されるかもしれない、という情報が飛び交い大論争になっています。しかしこの報道は正確ではありません。
事の起こりは昨年12月、専門誌「国際環境調査・公衆衛生ジャーナル」が、「データ解析の結果、アメリカの子供たちの喘息の13%が、ガスコンロのせいで起きていると考えられる」と発表したのがきっかけです。それを受けて、バイデン大統領直属の独立政府機関である米国消費者安全委員会の長官が、対策の必要性を示唆しました。
この段階ではそれほど大きくないニュースだったのに、火に油を注いだのが化石燃料業界と共和党議員、保守メディアです。「バイデン政権がガスコンロを禁止しようとしている」と猛反発し、「ガスコンロは本当に危険なのか、禁止すべきなのか?」と大論争になりました。
続いてニューヨークのホークル知事も「2030年以降に建築される建物には、ガスコンロは装着できないようにしたい」との意向を明らかに。しかし現在使われているものを禁止する意図はないとしています。
一方専門家らは、天然ガスを燃やすコンロから排出される二酸化窒素は、喘息を悪化させる可能性がある。また温室効果ガスの1つであるメタンも、温暖化を促進するのは間違いないとコメント。
これまで何も考えずに使っていたガスコンロを見直す動きも広がり、使用する時は換気扇をつけたり窓を開ける、電磁調理器に買い換えるなどの対策をアドバイスする専門家もいます。
健康、環境との因果関係の調査はまだ初期段階とのことで、禁止にはならなくても、いずれはガソリン車と同様に姿を消す運命なのかもしれません。
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