「11月に母がコロナでお世話になったケアマネジャーさんに相談し、定期で訪問診療をお願いしたいと思いまして」
今年に入ってそんなご連絡をいただきました。伺ったのは、娘さんと同居する90歳の女性の患者さんのお宅。関節リウマチと高血圧症を患っておられます。
この患者さんはA病院に12月末からかかっており、今後は定期的に通院予定とのこと。できるだけ通える範囲では通いたいけれども、高齢のためいずれは難しくなるのではと考え、その時のための備えとして、私たちの診療所に相談することになったのでした。
「おはようございます、よろしくお願いします」(私)
「寒いところをどうもありがとうございます」(患者)
「リウマチはかかって長いですか?」(私)
「長いです。43歳からです」(患者)
「関節だけですか? 他の部分はどうですか? 肩とか」(私)
「関節ですね、肩はたまに痛いです」(患者)
「今はずっと痛いわけではないですか?」(私)
「そうです」(患者)
「血管にコレステロールかなにかが詰まっているってことで、去年血管をきれいにする手術をしたんです。でも、改善せず、お医者さんからは治療困難だってさじを投げられて」(娘)
「そうでしたか。病名はなんか言われましたか?」(私)
「ただ血管が詰まっているとだけ言われました」(娘)
「糖尿の方は?」(私)
「ないです」(娘)
患者さんの足の指には保護のための包帯も巻かれている様子。
「足の指が腐っちゃうってよく言われていて、それで心配なんです」(娘)
「関節自体がもう曲がってしまっていて、普段だったら潰れない血管が潰れちゃってる感じもありますよね」(私)
「なるほど」(娘)
会話を重ね、打ち解けるうちに、患者さんやご家族が納得できるよう、時間をかけて素朴な疑問にお応えできるのも、在宅医療ならでは。
「お酒は飲みますか?」(私)
「えへへ、ワインをちょっと」(患者)
「1杯とかならいいかな。ところで病院はこれからも通いますか?」(私)
「はい」(娘)
「では基本的に薬は病院でお願いするということでいいですか?」(私)
「はい。ただもう年齢もあるので、もしダメになったらあけぼのさんでお願いしたいですね」(娘)
「もちろんです。お薬もね、ご年齢もあるのでリスクもあります。これ以上悪化しないように維持していくという形になるかと思います。お薬に関しては、こちらに相談してもらってもいいんですけど、外来で行ってる限りは先生にご相談した方がいいかもしれないですね」(私)
「そうですか」(娘)
「ずっと診てもらっている先生だと思いますし、先生がずっと数値を見ながら薬を調整しているところもありますから」(私)
「そうですね」(娘)
「我々は突然、熱が出ちゃったりとかの緊急対応で介入できればいいかなと思います」(私)
こうして患者さんの思いをくみ全体をマネジメントしながら、将来に備えた予備のための対処もまた、これからの在宅医療のカタチといえるでしょう。