健康長寿に役立つ高齢薬膳

【ターメリック】全身の血流をグングン巡らせてしもやけも改善

血行促進クイック薬膳カレー(提供写真)
血行促進クイック薬膳カレー(提供写真)

 手足が赤く腫れて痛む……。冬になると引き起こされがちなのが「しもやけ」です。しもやけは、医学的には「凍瘡」と呼ばれ、手足、耳、鼻、頬などの皮膚が寒さや低温の寒冷刺激を受け、静脈や動脈が収縮してうっ血が起こるために現れる症状です。とくに、日頃から運動量が少ないシニアは、末端の血行が悪く発症しやすい傾向があります。加齢とともに、動脈硬化や血管の狭小化も進んでいるため、治りにくく、重症化のリスクも高いのです。

 しもやけの症状としては、赤紫色に腫れたり、赤くなって盛り上がり痛みやかゆみがある、じんじんと熱い感じがするといったことが挙げられます。悪化すると水ぶくれや潰瘍になり、そこから細菌に感染して、さらに症状がひどくなるケースもあります。早めの対策を心がけましょう。

 しもやけは中医学において「血」の巡りが悪いことで引き起こされると考えます。体の隅々にまで血が行き届かないために、手足の冷えをともないがち。また、慢性的な肩こりや頭痛、クマに悩まされる人も多く見られます。改善のためには、血流をアップする食材を取り入れることが大切です。

 おすすめは、カレーに含まれるスパイスとしておなじみの「ターメリック」。血行を促進する高い効果があるのです。また、肩こり、頭痛、関節痛の改善にも威力を発揮します。さらに、気の流れをスムーズにするため、ストレス解消にも効果的です。忙しい現代人は、運動不足や過労によって血流が滞りがち。血の巡りの悪さは、新陳代謝が低下して老廃物が体にたまりやすくなり不調の原因になるうえ、がんなどの悪性腫瘍のリスクも高まります。ターメリックは、日頃から血流をグングン巡らせるために使いこなしたいスパイスなのです。

 ターメリックはカレーで取り入れることはもちろん、スーパーなどで比較的手軽に入手できるので、いろいろな料理に使ってみましょう。洋風のスープや煮物に振り入れたり、肉や魚介の下味付けに使うと風味がアップ。また、マヨネーズやドレッシングに混ぜて使うと、スパイシーでほろ苦く奥深い味わいに。ご飯を炊くときに加えれば、彩り鮮やかな「ターメリックライス」が完成します。ドリンクに使ってもOK。温めた牛乳に振り入れ、ハチミツを混ぜた「ターメリックミルク」もおすすめです。ターメリックのしもやけ改善効果を高めるには、同様に血の巡りをよくするサバ、ニラ、タマネギ、ピーマンなどを組み合わせるとよいでしょう。

■ターメリック高齢薬膳レシピ

血行促進クイック薬膳カレー

 血行を促進するターメリック、サバ、ニラを組み合わせたレシピ。市販のレトルトカレーに「追いターメリック」でパワーアップ。サバ缶を使って、超特急で完成する薬膳カレーです。

【材料】1人分
●レトルトカレー(市販)  1個
●サバ水煮缶 2分の1缶
●ニラ 4分の1束
●ターメリック、黒すりごま  適量
●ご飯  1膳

【作り方】
 レトルトカレーを温め、サバ水煮缶を汁ごと加え、ターメリックを振り入れる。ザク切りにしたニラも入れてサッと火を通し、器に盛ったご飯にかけ、黒すりごまを振る。

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池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

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