感染症別 正しいクスリの使い方

【サル痘】18人感染確認…日本では一般的に広く使える治療薬はない

サル痘ウイルス(CDC提供・共同)

 サル痘の潜伏期間は5~21日(通常7~14日)とされており、潜伏期間の後、発熱、頭痛、リンパ節腫脹、筋肉痛などが1~5日続き、その後発疹が現れます。発疹は典型的には顔面から始まり、体幹部へと広がります。多くの場合、2~4週間持続し自然軽快するものの、小児例や、暴露の程度、患者の健康状態、合併症などにより重症化する場合もあり、致命率は0~11%と報告されています。治るとしても、1カ月もかかるのは長いといえます。

 WHO(世界保健機関)によると、現在報告されている患者の大部分は男性ですが、小児や女性の感染も増加しています。コンドームを使用しない男性間の性的接触による感染が多いことも指摘されていたHIV(エイズ)と似たような現象が起きている可能性も考えられます。淋病について取り上げたときにお話ししたように、性感染症の予防には、性行為の最初から最後までコンドームを使用することが有効とされています。

2 / 3 ページ

荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

関連記事