老親・家族 在宅での看取り方

90歳の男性患者「旅行にも温泉にも行きたい」自分のしたい楽しいことをしよう

旅行にも温泉にも行きたい…

「40歳くらいで糖尿病になって病気生活が始まったんです。次になったのが12年前で、多発性骨髄腫。狭心症、脊柱管狭窄症もあって、腰と心臓も悪いですね。あと3年前に胃から出血して倒れちゃって、輸血しました。生活の質に関わってくるのが胃腸障害です。下痢と便秘を繰り返して。耳鳴りがずっとあって、夜中ずっと……」

 妻と息子さんと同居する、90歳になる男性患者さんと最初に会った時、息子さんから聞かされたのは、患者さんの病歴と現状でした。

 そもそもこの方が私たち診療所で在宅医療を始められたきっかけは、ご本人が通院する大学病院のかかりつけ医師から、訪問診療と訪問看護、訪問リハビリを入れたらと勧められたこと。そのため普段の体調管理は在宅医療でおこない、通院して併診することを希望されていました。

「難聴と耳鳴りがあるんですね、めまいはありますか? お医者さんからなにが原因だと言われましたか?」(私)

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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