「太りやすい体」と手を切るには…1食20グラムのタンパク質を

朝食は豆腐+納豆+卵でOK
朝食は豆腐+納豆+卵でOK

 年を取るほど、筋肉を意識した食生活を送ったほうがいい。75~84歳の高齢者の歩く速さと10年後の生存率を調べた研究では、歩くのが速い人ほど長く生きられるとの結果が出ている。歩行速度は筋肉量と関係しており、筋肉量が多いほど長生きできるということになる。

 筋肉は、糖尿病リスクとも関係している。筋肉はブドウ糖を取り込んで血糖をコントロールし、ブドウ糖をグリコーゲンとして貯蔵する働きを担っている。筋肉量が減ると、これらの働きが十分に行われず、血糖コントロールの悪化を招く。

 筋肉量を増やすことは、「太りにくさ」にもつながる。筋肉量が多いほど、エネルギーの消費量も増えるからだ。

 筋肉量は何歳になっても増やせるが、そのためには運動と、筋肉の主成分であるタンパク質をしっかり取れる食事が欠かせない。このタンパク質、取れているようで取れていない。「タニタ」の管理栄養士、小武内沙織さんが言う。

「タンパク質摂取量を調査した研究では、全体で約7割の人が目標量に対して不足しているとの結果が出ています」

 それは、「ヘルスケアシステムズ」が20~80代の男女315人に行ったもので、厚労省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を参照に達成の判定を行ったところ、タンパク質目標量に対する摂取量の達成率が最も高かった60代でも38.5%。20代、40代は20%台で、80代では0%だった。

「私自身、朝食にタンパク質が豊富な卵や納豆を取るようにしているのですが、1日のタンパク質摂取量を計算すると、推奨量に10グラムほど足りていませんでした。努めてタンパク質を取るようにしないと、推奨量にはなかなか達しません」(小武内さん=以下同)

■肉や魚は「手のひら分」

 タンパク質は“取りため”ができない。朝昼晩と1日3回均等に取ることで、筋肉を合成するスイッチが1日3回強く入る。「1食以上タンパク質摂取量が不足している人は、3食とも十分に取れている人より、筋肉量が少ない」という研究結果も報告されている。しかし日本人のタンパク質摂取量は夜は比較的多く、朝が極めて少ない。

「朝のタンパク質摂取は、その1日の活動にも影響を与えます」

 タンパク質の摂取量の目安だが、だいたい1食20グラムを目指したい。量をチェックするのに覚えておきたいのが、カットした肉や魚なら「1食あたり手のひら分」。手のひらに乗るくらいの量は100グラム前後で、含まれているタンパク質は20グラム前後になる。

 高タンパク質の食品として知られる豆腐は3分の1丁でタンパク質が6~7グラム。だいたい同量のタンパク質を取るには、牛乳・豆乳コップ1杯、卵1個、納豆1パック、油揚げ1枚。ヨーグルト100グラムやプロセスチーズ1個なら、タンパク質4グラム前後。タンパク質が多い野菜としては、ブロッコリーがおすすめ。

 朝なら「豆腐+納豆+卵」や「牛乳や豆乳+チーズ+卵+ヨーグルト」、昼には手のひら分の肉や魚、夜は植物性タンパク質、動物性タンパク質を取り混ぜて……。メニューの中にタンパク質が入っているかを意識することから始めよう。

「植物性タンパク質と動物性タンパク質では、特徴や性質が異なります。1対2のバランスで取るのが理想的です。また、粉末のタンパク質を活用するのも手です。味や香りがしないので、味噌汁に入れたり、ハンバーグなど調理過程に入れたりすると、タンパク質摂取量が増えます」

 ゴマ、かつお節、焼き海苔、麩、粉チーズ、ゼラチン、スキムミルクも、「自然とタンパク質増量」に役立つ。粉末のタンパク質と同様、調理過程で入れたりするのもいいし、ゴマやかつお節はご飯やおかず、汁物など何にでも合う。

 さらに小武内さんが提案するのは「豆の菓子やチーズなど、おやつでタンパク質を取ること」。

「1日100キロカロリー程度のおやつなら、ダイエット中でも問題ありません」

 今日から実践だ。

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