役に立つオモシロ医学論文

「やるべきこと」を先延ばしにする人は健康リスクが高い? 米国医学雑誌が論文掲載

写真はイメージ(C)iStock

 やるべきことを先延ばしにしてしまう経験は、程度の差はあれ、誰にでもあると思います。先延ばしをしてしまう傾向は、特に大学生で多いことが知られており、人の性格的な特徴の中でも誠実性と強く関連することが報告されています。

 過去の研究では、先延ばしをしがちな人では、メンタルヘルスの悪化、孤独感の増加、生活満足度の低下、心臓病のリスクや不健康な生活習慣との関連が指摘されていました。

 そんな中、やるべきことの先延ばしと、健康状態や生活習慣との関連性を評価した研究論文が、米国医師会が発行しているオープンアクセスジャーナルの電子版に2023年1月4日付で掲載されました。

 スウェーデンの大学生を対象に行われたこの研究では、3525人(平均24.8歳、女性63%)が解析の対象となりました。やるべきことの先延ばしは、5項目の質問票に対して各1~5点、合計5~25点(点数が高いほど先延ばしをする頻度が高い)のスコアで評価され、メンタルヘルスや体の痛みなどの健康問題や、健康に影響を与える生活習慣との関連性が検討されています。なお、結果に影響し得る、年齢、性別、過去の病状歴、出生地域などの因子について統計的に補正して解析されました。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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