医者も知らない医学の新常識

「ため息」に画期的なリラックス効果? マインドフルネスをしのぐ

正しい呼吸法でストレス緩和

 現代はストレスの時代です。今が本当にストレスの強い時代であるのかどうかは分かりませんが、皆がストレスを強く感じていることは確かです。ストレスをため込んでいると、心身の不調につながることも間違いのない事実です。

 それでは、ストレスを軽減するにはどうすればいいのでしょうか? 長くのんびりできるような休みが取れれば、それが一番であるのは確実ですが、今、求められているのは短時間でリラックスできるような方法です。

 この分野で世界的に広く利用されているのは「マインドフルネス瞑想」と呼ばれる方法で、これは宗教色のない簡単な瞑想法です。ただ、この方法もそれなりの訓練が必要で、今日から簡単にできるというものではありません。

 今年の「セル・リポーツ・メディシン」という臨床生物医学の専門誌に掲載された論文に、もっと簡単なリラックス法の効果が報告されています。深呼吸のようないくつかの簡単な呼吸法を、毎日5分間繰り返すだけで、マインドフルネス瞑想を部分的にはしのぐようなリラックス効果が得られたのです。

 最も有効性が高かったのは、大きく息を吸ってから、ため息のようにゆっくり息を吐くという呼吸法でした。正しい呼吸法を学んで実践することが、忙しい現代人のストレス緩和の決め手であるのかもしれません。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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