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片頭痛は食物繊維で予防できる? 米国の健康栄養調査で解明

食物繊維を多く取ることを試してみる

 片頭痛は慢性頭痛の代表的な病気のひとつで、頭の片側のズキズキする痛みが典型的な症状です。目の前に光が走るなどの前兆があり、吐き気などの症状を伴うこともあります。激しい頭痛が続いている間は、日常生活を送ることも困難になるのです。トリプタン製剤と呼ばれる発作の治療薬や、最近では注射薬も使用されていますが、非常に高価な薬でその効果は一時的です。

 片頭痛のような慢性の頭痛は、生活習慣との関連が深いことが知られています。その中で最近注目されているのが食物繊維です。食物繊維は腸の環境を整えますが、じつは腸と脳とは自律神経を通じて互いに影響し合っているので、腸の健康が頭痛などの脳の症状を改善する可能性があるのです。

 今年の栄養学の専門誌に発表された論文によると、アメリカの健康栄養調査のデータを解析した結果として、食物繊維を多く取ることで、激しい頭痛や片頭痛のリスクが低下することが確認されました。1日の食物繊維を10グラム多く取ると、頭痛のリスクは11%低下していたのです。

 これはまだ確定的な研究結果ではありませんが、食物繊維には多くの健康効果が知られていますから、頭痛に悩んでいる方は、まずは食物繊維を多く取ることを試してみるのがいいかもしれません。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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